悲恋の歌

風の噂で知ったんだ 幼い頃に出会ったあの子に
もうすぐ子供が生まれるんだって 母親の顔になる間近なんだって

遠い夏の夜 線香花火と一緒に 光る笑顔にみとれていた
真っ暗闇のベッドで二人 眠る大人たちをよそに手をつないだ

目を覚ますのは 思い出の一人だけ

一度 旅先ですれ違ったとき 声をかけることが出来なかった
ただのひとかけらの勇気も 持ち合わせてはいなかった

思うべきは二人の幸せで この歌は胸の内にしまうことだろう
真っ白いドレスを着てバルコニーで 笑顔で両手を振っている晴れ舞台

長いバスの旅にも終わりが あるんだってことを思い知らされた
僕の心のいくらかは 山小屋のベッドに置き去りのまま

迎えにいくのは 思い出の一人だけ